2017年3月25日更新
イベントの企画から施工・運営を手掛ける東真についてレポートします。
イベント会社といえば華やかな企画を想像される方も多いでしょう。
確かに企画はイベント会社の魂です。
しかしイベントの施工を手掛ける東真は、イベントの血肉としての裏方も重視しています。
彼らは普段は表舞台に出てきません。
しかし信頼されるイベントの施工のために隠れたところでベストを尽くしています。
見られないところであっても決して気を抜かないことが、信頼されるイベントには必要だと考えているからです。
今回はそんな彼ら裏方の技を5つピックアップして紹介します。
イベント施工の裏方を見るために、新浦安駅近くにある倉庫にやってきました。閑静な地ですが、倉庫の中からは、活気のある若者の声が聞こえてきます。大きく開かれた入り口からは、塗料や木材のにおいが流れてきます。これから見られる非日常に期待が膨らみます。
倉庫を案内してくれたのは、裏方歴10年のベテランの藤崎さんです。
「裏方の仕事について、何も知らないので、一から教えていただきたいのですが」と言うと、忙しい仕事の手を止めて、倉庫のなかを歩きながら教えてくれました。
藤崎さんいわく
「裏方の仕事で一番大切なことは、お客様の求めているものを確実にお届けすることです。例えば、数百の物品をお届けすることもありますが、数は絶対に間違えません」
数百!いちいち数えるのは面倒くさそうですが……
「そう思われるかもしれませんね。でも、慣れてくるとパっと見て、わかります。でもダブルチェックは怠りません」
なるほど。抜かりないダブルチェックが信頼される仕事の秘訣なのですね。
「それから、数量以外にも破損していない完全な状態であることも大切です。これは物品が返ってきたときに、把握します。これもパッと見たらわかるようになりますね」
ぶつけたり、こすったり、はがれたり、細かな破損もありそうな物品も多いのに、パッと見ただけでわかるというのは流石といったところです。
「フォークリフトの運転でも、パッと見たときの感覚は重要ですよ。倉庫のなかは狭いので、ぶつけないように、なおかつ迅速に作業をすすめないといけないですから」
フォークリフトの運転では、自家用車とは違って車体感覚だけでなく、写真のように荷物の幅も考慮しないといけません。小さな接触が、ドミノ倒し的に大きな事故につながる倉庫作業なだけに重要な感覚です。
天井の高い倉庫のなかを、藤崎さんに案内してもらい進みます。天井まで物品がうず高く積まれています。どうやって搬出するのでしょう?貨物エレベーターをつかって搬出するのでしょうか?
そんなことを考えていると、写真のような長いハシゴを発見。
「上の段には、ハシゴを使って昇ります。高所での作業も多いんですよ。だから、ヘルメットの着用を徹底しています。私の口が酸っぱくなるくらい言いますし、仲間同士でもヘルメットの着用は声の掛け合いを意識しています。毎朝の朝礼でも欠かさず言います」
慣れてくると別に特別なことではなくなってくる高所作業なので、ちょっと昇るときには、「まあいっか」の感覚でヘルメットの着用を怠ってしまいそうなところ。
そこを裏方では、想定外の事態で滞るようなことがないように、地道な取組が行われていました。
壁には各々のマイヘルメットがかかっています。共用ではないので、大勢で高所作業するときでも、ヘルメットを被れない人が発生することはありません。
高所作業の話をしていると、早速、作業をしている人を発見しました。ヘルメットとパワーグリップの装備で万端の態勢です。何か荷物を下に渡している様子です。
「渡すよー」
と声をかけながら、下に物を渡しています。声をかけながら作業をすることで、お互いに手を放すタイミングをつかめるので、事故を防ぐことができます。
加えて、写真を見てください。高所の人は、高所から身を乗り出した危険な態勢です。片手でハシゴを握り、身を託しています。そのハシゴを、下の人はガッチリとホールドして、動かないようにしています。別に声をかけるわけでもなく、相手を気遣うチームワークから自然と生まれる行動です。
「次は書き部屋に案内しますね。看板の印刷や貼りを行う場所です。多くのイベント会社では、看板は外注しています。東真はイベントのトータルプロデュースを手掛けているので、社内で製作しています。あ、靴は脱いでくださいね。砂埃が部屋に入ると、白い看板が汚れてしまうので
うっかり土足で入ろうとして注意されてしまいました。看板は白い背景のものが多いので、ちょっとした汚れでも目立ってしまうのです。
書き部屋に入るとまず目に入るのが、お化けのようなプリンタです。規則的な機械音を響かせながら、イベントの顔となる看板を印刷しています。
印刷作業を担当しているのは入社一年の福田さん。
印刷って機械に任せればいいので、けっこう簡単なのでは?
「できませんよ(笑)なぜなら、何種類もある紙ごとにプリンタの細かな設定をしなければいけないんです。この設定をするのはけっこう大変です。でもマシンをコントロールしている感覚は、男子にはたまりませんね(笑)」
確かに、どこをどういじればいいか私にはわかりません。失礼いたしました。でも、設定という細かな配慮の積み重ねで、最高品質の看板が出来上がっていることがわかりました。
奥に入ると、印刷した紙を、木枠に貼って看板を仕上げている現場に遭遇しました。まるで目には見えない何かに導かれるように、目にもとまらぬ速さで、へらを動かしていきます。全く迷いがありません。
手を止めることなく作業を続けるのは、貼り担当の神田さんです。
「まっすぐ貼るのが結構難しいんですよ。それに、空気が入らないように、ムラなく規則的に作業をしなければなりません。一日にいくつもつくらなければならないので、スピードも必要です。雑念で心を乱したらダメですね。ずっとやってると禅の境地になります(笑)」
と、語りながらも、相変わらず目にもとまらぬヘラさばき。これを一日中続けるなんてとても考えられません。この地道な作業がイベントには欠かせません。
ところで、素朴な疑問なのですが、どうして東真では木枠の看板を製作しているのでしょう?
「金属枠のフレームよりも木枠のほうが優れた点がいくつかあります。一番大きいメリットは、木は生きているので、看板が長持ちするということです。多少歪んでも、しばらくったったら木の弾性で元に戻るんですよ。金属の硬いイメージとは逆で、木のほうが長い間保管するのに向いているんです」
毎日、看板の木枠と向き合っている神田さんから、木枠のメリットについて聞いて目から鱗が落ちました。
「次で最後です。クマさんの部屋に案内します」
と言われて、ぷんと木の香りが立ち込める場所に入りました。クマさん?ちょっと怖そうなイメージです。
奥にはクマさんこと、熊谷さんがいました。真剣な表情で、営業の方と打ち合わせ中です。朴訥としたしゃべり方ながら、はっきりとした物言いは、いかにも頑固な職人という感じ。
おそるおそる熊谷さんに声をかけると、にこやかに対応してくれました。
「ここはモノづくりの部屋だよ。なんでも作るよ!できないとは言わないね。俺ひとりだけどさ」
ひとりでなんでも!できないとは言わないというところに、職人としての自負を感じます。家でも作れるそうです。
「30年ほどこの仕事をしているよ。看板を作ることが多いね。看板は四角い看板が多いけど、丸でも作れるよ。直径3mの丸看板もつくったよ」
3mとは驚きです。手描きするのでも大変なのに、丸を綺麗に木材で作り出すのは、洗練された職人のなせる技です。おみそれしました。
最後に凄い技の持ち主に出会て、ラッキーな取材でした。
「また来いよ!」
と熊谷さんに見送られて、倉庫を後にしました。
今回は信頼されるイベントの施工を陰で支えている裏方の技を5つピックアップして紹介しました。
裏方の仕事は自分との闘いです。「どうせ気づかないから」という思いが生まれたら、意外な場面で、イベント施工の品質を落としてしまいかねません。
今回の取材では克己の精神を強くもった裏方の人たちと出会いました。東真の信頼されるイベント施工にはなくてはならない人々ばかりです。
カテゴリー:お知らせ
タグ: